サーマルリレーとは?仕組み・トリップ原因と復帰手順を徹底解剖

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サーマルリレーとは?仕組み・トリップ原因と復帰手順を徹底解剖
サーマルリレーとは?仕組み・トリップ原因と復帰手順を徹底解剖
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🎵 サーマルリレーとは?仕組み・トリップ原因と復帰手順を徹底解剖

工場の生産ラインやビルの空調設備、給排水ポンプの心臓部として稼働し続ける三相誘導電動機(モーター)。2026年の現在も、産業現場における動力設備の主役として休むことなくプラントを支えています。しかし、過負荷や機械の噛み込み、欠相といったトラブルが発生した瞬間、モーター内部には定格を大幅に超える過電流が流れ込み、放置すれば瞬く間にコイルが焼き切れて大規模な操業停止や火災事故へと発展しかねません。

そうした壊滅的な事態を水際で食い止めるのが「サーマルリレー(熱動継電器)」です。電気制御盤の扉を開ければ必ずと言ってよいほど目にする定番機器ですが、現場では「突然トリップしたが原因がわからない」「ブレーカーとの役割分担が曖昧なまま運用している」という声も少なくありません。本稿では、バイメタルによる作動原理からマグネットスイッチとの決定的な違い、現場で頻発するトリップの真因と安全な復帰手順、さらには適切な電流設定値の合わせ方まで、現場技術者・設備管理者が知っておくべき実務知識を徹底的に解剖します。

📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
  • 役割と本質:サーマルリレーは「過負荷継電器」として、持続的な過電流によるモーターコイルの熱損傷(焼損)を未然に防ぐ保護装置。
  • 機器の区分:電磁接触器(マグネットコンタクタ)にサーマルリレーを組み付けた合体構造のものを「電磁開閉器(マグネットスイッチ)」と呼ぶ。
  • 現場の鉄則:トリップ直後にリセットボタンを連打するのは厳禁。バイメタルの冷却時間(2〜5分)を確保し、メカロックや過負荷の根本原因を排除してから手動復帰させる。

【基礎知識】サーマルリレーとは?モーター焼損を防ぐ過負荷継電器の役割

サーマルリレー(英語:Thermal Overload Relay)は、日本語で「熱動継電器」または「過負荷継電器」と呼ばれます。その主たる使命は、接続されたモーターに定格以上の電流が流れ続けた際、熱を感知して回路を遮断し、モーターの焼損事故を防ぐことにあります。

産業現場で用いられる三相モーターは、起動時に定格の約5倍から8倍に達する大きな始動電流が流れます。通常のブレーカー(配線用遮断器:MCCB)だけで保護しようとすると、正常なモーター起動時の突入電流に反応してトリップしてしまい、機械を立ち上げることができません。かといってブレーカーの遮断容量を大きく設定すると、今度は定格電流の1.2倍〜1.5倍程度の「軽微だが長時間継続する過負荷」を見過ごしてしまい、モーター内部の絶縁被覆が熱劣化して最終的にコイルがショート・焼損してしまいます。

サーマルリレーは「大きな起動電流は数秒間許容しつつ、許容限度を超える過電流が一定時間継続した場合にのみ作動する」という、反限時特性(電流値が大きいほど早く動作し、小さいほどゆっくり動作する特性)を持っています。この特性こそが、過酷な産業現場でモーター保護の標準器として長年重用されている最大の理由です。

当時のメディア報道・掲載写真
【検証資料 1】当時のメディア報道・掲載写真(出典:dendenki.net)

【徹底比較】電磁開閉器(マグネットスイッチ)と電磁接触器・サーマルリレーの違い

電気初心者や若手メンテナンス担当者が最も混同しやすいのが、「電磁接触器」「サーマルリレー」「電磁開閉器」の名称と機能の違いです。制御盤図面や部品発注時のミスを防ぐためにも、その包含関係と役割の明確な境界線を整理しておく必要があります。

結論から整理すると、「電磁開閉器(マグネットスイッチ:MS)」とは、「電磁接触器(マグネットコンタクタ:MC)」の二次側に「サーマルリレー(TH/TR)」を物理的・電気的に一体化させた複合装置を指します。電磁接触器単体ではモーターの発熱を検知する機能はなく、サーマルリレー単体では主回路の数万アンペアに達するような大電流を自力で切り離す開閉機構を持っていません。両者が組み合わさることで、初めて完全なモーター制御・保護ユニットとして機能します。

機器名称主な構成要素と役割動作対象・保護領域単独での主回路遮断能力
配線用遮断器(MCCB / ブレーカー)電源母線からの受電部。配線そのものを過熱や短絡火災から保護する。短絡事故(ショート)および配線の定格電流超過。あり(事故電流を自ら機械的に遮断)
電磁接触器(マグネットコンタクタ:MC)電磁石の吸引力を用いて、遠隔信号(PLCや押しボタン)で主接点を開閉する。通電・停止の切り替え操作(保護機能自体は持たない)。あり(操作用コイルの励磁・消磁による)
サーマルリレー(過負荷継電器:TH/TR)ヒートエレメントとバイメタルで発熱を検知し、内蔵接点(95-96 / 97-98)を動かす。モーターの長時間過負荷、機械拘束、欠相運転時の過熱。なし(自力で動力線を遮断できず、操作回路経由でMCを切る)
電磁開閉器(マグネットスイッチ:MS)上記「電磁接触器」と「サーマルリレー」を一体に組み合わせた完成品ユニット。モーターの運転操作 + 過負荷時の自動停止保護を兼備。あり(内蔵する電磁接触器が物理遮断を実行)

実務上の注意点として、サーマルリレーは短絡(ショート)保護ができないという致命的な原則があります。短絡による数千アンペアの瞬時電流が流れた場合、サーマルリレーがバイメタルの熱でゆっくり反り返る前に、ヒートエレメント自体が物理的に溶断して破損してしまいます。そのため、回路の上流側には必ず適切な定格を持つ配線用遮断器(MCCB)を直列に配置することが、電気設備技術基準および内線規程で義務付けられています。

【内部の仕組み】バイメタルの動作原理と電気用図記号・配線図の読み解き方

サーマルリレーが電気信号の処理装置(PLCやマイコン)を介さずに、極めて高い信頼性で過負荷を検知できる理由は、その堅牢な物理的動作機構にあります。

バイメタルが熱で湾曲する物理メカニズム

サーマルリレーの心臓部には、熱膨張率が大きく異なる2種類の金属板(インバー合金やニッケル合金など)を圧延接合した「バイメタル」が組み込まれています。バイメタルの周囲には、主回路の電流が直接流れる電熱線(ヒートエレメント)が巻き付けられています。

モーターに過電流が流れると、ジュールの法則($Q = I^2Rt$)に従ってヒートエレメントが発熱します。するとバイメタルが熱せられますが、膨張率が大きい側の金属が大きく伸びようとするのに対し、膨張率が小さい側の金属はあまり伸びません。結果として、バイメタル全体が熱膨張率の小さい側へと大きく弓なりに湾曲します。この湾曲変形が所定の限界に達すると、連動するシフター(スライド板)を押し込み、瞬時にトグル機構のリリースフックを外して「トリップ状態」を作り出します。

制御盤配線図(シーケンス図)と電気用図記号(JIS C 0617)の見方

サーマルリレーを正しく盤内に配線するには、主回路と制御回路(操作回路)の明確な分離を理解しなければなりません。JIS規格における電気用図記号では、主回路側のヒートエレメント部分(角ばった発熱体記号)と、制御回路側の接点部分(数字の95-96および97-98)に分かれて描かれます。

  • 95番 - 96番端子(b接点/常時閉接点:NC): 通常運転時は導通しており、電磁接触器の操作コイル電源ラインに直列に割り込ませます。サーマルがトリップすると接点が「開(OFF)」になり、電磁接触器の励磁を強制遮断してモーターを安全に停止させます。
  • 97番 - 98番端子(a接点/常時開接点:NO): 通常運転時は開放されており、サーマルがトリップした瞬間に接点が「閉(ON)」になります。この信号をパトライト(回転灯)、警報ブザー、あるいはPLCの入力ユニットに送ることで、監視室に「〇号ポンプ過負荷異常」などのアラームを発報させます。

設計現場で散見される配線ミスとして、「95-96のb接点を操作回路に入れ忘れ、モーターが過負荷になっても電磁接触器が切れずに回り続けてモーターが全損した」という事故があります。サーマルリレーの接点は、あくまで「制御回路の電磁石の電源を切るためのスイッチ」として結線されていなければ、何重に保護を施しても機能しません。

活動歴および当時の関連ビジュアル記録
【検証資料 2】活動歴および当時の関連ビジュアル記録(出典:jeea.or.jp)

【実態検証】利用者の生の声と現場目線で見えたリアル

製造工場の保全担当者や電気設備管理者が集う技術フォーラム、SNSコミュニティ、知恵袋などのトラブル相談を分析すると、サーマルリレーのトリップを巡る「生々しい現場の苦悩」が浮き彫りになります。

「月曜の朝一番、ラインを立ち上げようとするとコンベアのサーマルが必ず落ちる。ヒーターの設定値を少し上げたら動いたが、昼過ぎにモーターから異臭がして白煙が上がった。原因を調べたら、減速機のグリスが冬場の低温で固着していただけで、設定値を弄ったのは完全に悪手だった」(化学プラント保全エンジニアの手記より)

「夏場になると決まってトリップするファン制御盤があった。モーター電流をクランプメーターで測っても定格の85%程度しか流れていない。『サーマルの故障か?』と疑って新品に交換したが再発。最終的に判明したのは、直射日光が当たる屋外制御盤の盤内温度が55℃を超えており、周囲温度の熱をサーマルが拾って誤作動していたことだった」(ビル管理会社・主任技術者の回想)

現場のリアルな証言から見えてくるのは、「サーマルリレーのトリップは、機械側・環境側のSOS信号である」という事実です。多くの現場で、締め切りや生産プレッシャーに追われるオペレーターが「とりあえずリセットボタンを押して再起動する」という危険な場当たり対応に走りがちです。しかし、サーマルが動作した背景には必ず定量的な理由が存在します。

一般に知られていない盲点とネットの誤解

ネット上の情報や現場の口伝には、時として危険な誤認が含まれています。設備事故を根絶するために、業界内で蔓延しがちな3大誤解を是正します。

誤解1:「トリップしたら、即座にリセットボタンを押せば復帰する」という罠

現場で最も頻繁に目撃される光景ですが、トリップ直後にリセットボタンを力任せに押し込んでも、ボタンがスカスカと空回りして復帰できないケースが多々あります。これは故障ではなく、内部のバイメタルが過電流の熱で湾曲したまま冷めきっていないためです。バイメタルが自然冷却されて元の形状に戻るまでには、通常約2分から5分程度のクールダウン時間を要します。このインターバルは、過熱したモーターコイルが熱を放出するための必要不可欠な冷却猶予時間でもあります。

誤解2:「三相のうち1相が断線(欠相)しても、通常のサーマルで保護できる」という過信

一般的な安価なサーマルリレー(2素子型)は、R相・T相の2相分にしかヒートエレメントが入っていません。電源線の1本が外れたり、電磁接触器の接点不良で1相が通電しなくなる「単相運転(欠相)」に陥った場合、モーターは異音と振動を発しながら残り2相に過大な電流(定格の約1.5〜2倍)を流します。しかし、負荷の度合いによっては電流値がサーマルのトリップ点に微妙に届かず、ヒートエレメントのない相の巻線だけが局部加熱を起こして焼損に至ることがあります。このリスクを完全に防ぐには、各相の電流アンバランスを差動機構で感知する「3素子型」または「欠相保護付(2Eサーマルリレー)」の導入が不可欠です。

誤解3:「インバータ制御のモーターにも汎用サーマルをそのまま付ければ良い」という誤り

インバータ(可変周波数電源)の二次側に汎用サーマルリレーを取り付けると、高周波のPWMスイッチング波形に含まれる高調波成分によってヒートエレメントが異常過熱し、実効電流が定格以下であるにもかかわらず頻繁に誤トリップを起こします。また、モーターを低周波数(低速)で連続運転する場合、モーター軸直結の冷却ファンが低速回転になるため冷却風量が激減し、通常の定格電流値以下でもモーターコイルが異常過熱します。インバータ回路には、高調波対策が施された専用サーマルを採用するか、インバータ本体に内蔵された電子サーマル機能を使用するのが業界標準です。

公の場での発言・インタビュー報道記録
【検証資料 3】公の場での発言・インタビュー報道記録(出典:saitec-kurashiki.com)

【実践マニュアル】安全な復帰方法と電流設定値の合わせ方|手動・自動の危険な罠

設備トラブル発生時、現場作業者がパニックにならず安全に対処するための実践的なオペレーション手順を解説します。

現場で命を守るトラブルシューティングと復帰フロー

  1. 安全確保と一次電源遮断:制御盤の主ブレーカーを落とし、誤起動防止のロックアウト・タグアウト(LOTO)を実施する。
  2. 原因究明の一次切り分け:
    • 機械側の拘束確認:モーター軸やポンプ・減速機を手動(手回し)で回し、ベアリングの焼き付きや異物の噛み込みがないか確認する。
    • 絶縁抵抗測定:メガー(絶縁抵抗計)を用いて、モーターコイルの対地間・相間の絶縁破壊(漏電・地絡)がないかチェックする。
    • 端子の増し締め:サーマルリレーの端子ネジが振動で緩むと、接触抵抗によりジュール熱が発生し、サーマル本体が熱伝導で誤トリップする。
  3. 実動作時の電流測定:復旧後、クランプメーターを用いて運転中の各相電流(R/S/T)を測定し、電流バランスが崩れていないか、定格電流を超えていないかを検証する。

手動復帰(H)と自動復帰(A)の切り替えに潜む人身事故リスク

サーマルリレーの表面には、復帰方式を「手動復帰(Manual / H)」「自動復帰(Auto / A)」に切り替えるリセットバーやマイナスネジが備わっています。

モーター駆動用途において、安易に「自動復帰」に設定することは絶対に避けてください。自動復帰に設定すると、バイメタルが冷えた瞬間に接点が勝手に復帰します。もし操作回路が自己保持回路を構成していなかったり、遠隔自動運転モードになっていた場合、機械の点検や異物除去作業を行っている作業員の目の前で、突然モーターが再起動して巻き込まれ重大労災事故を引き起こす危険性があります。空調のダンパーモーターなど特殊な極少数用途を除き、産業設備では「作業者が原因を排除した後に自分の手でボタンを押す手動復帰(H)」に固定することが絶対の鉄則です。

電流設定ダイヤルの正しい合わせ方

サーマルリレー中央にある電流調整ダイヤルは、どのように設定すべきでしょうか。たまに「絶対にトリップしてほしくないから」とダイヤルを目一杯最大値に回している現場がありますが、これは保護機能を完全に放棄した極めて危険な行為です。

原則は「接続されているモーターの銘板(ネームプレート)に記載された定格電流値(Full Load Amperes)」にダイヤルの目盛りを正確に合わせることです。例えば、200V 50Hzで定格電流が「8.2A」と刻印されているモーターであれば、ダイヤルを「8.2」の指針に合わせます。実測電流が7.0A程度で安定しているからといって7.0Aに下げてしまうと、電圧変動や負荷の過渡的変動で不要動作を招きます。逆に、頻繁にトリップするからと安易に定格値以上にダイヤルを上げてしまえば、モーターは静かに焼損へと向かいます。

【メーカー別比較と選定】三菱電機と富士電機のサーマルリレー特徴

日本の産業機械・制御盤市場において圧倒的なシェアを二分しているのが、三菱電機富士電機です。盤の改造やリプレース時には、両社の設計思想やシリーズ展開の特徴を押さえておく必要があります。

三菱電機:TH-Tシリーズ(旧TH-Nシリーズ後継)

三菱電機の主力である「MS-Tシリーズ」に組み合わされる「TH-T形」サーマルリレーは、制御盤の小型化・省スペース化に特化した設計が特徴です。端子カバーが標準でIP20(フィンガープロテクション)構造となっており、通電部への指の接触を防ぐ安全設計が徹底されています。また、配線作業性を高めるスプリングクランプ端子仕様や、欠相保護・過負荷保護を両立した「TH-T□KP(2Eサーマル)」のラインナップが極めて充実しています。

富士電機:TRシリーズ(TR-5-1N等/TKシリーズ)

富士電機の電磁開閉器は、信頼性と堅牢性において半世紀以上にわたり現場の強い支持を集めています。「TR-5-1N」をはじめとするTRシリーズは、バイメタルの温度補償機構が非常に優秀で、周囲温度が変動しても動作電流特性がブレにくいという定評があります。また、欠相保護機能を備えた「TKシリーズ」は、三相アンバランス運転に対する感度が高く、高額なポンプやコンプレッサーの保護装置として長年プラント標準として採用され続けています。

なお、両社ともに電磁接触器との接続ピッチや取付フックの形状が独自設計となっているため、「他社製コンタクタに別メーカーのサーマルリレーを直接ドッキングすることは原則不可」です。メーカーを跨いでリプレースを行う場合は、独立取付台(単独設置用ユニット)を用いてDINレール上に個別設置するか、電磁開閉器ごとセットで一新するのが確実な施工基準となります。

【プロの結論】現場の安全文化とトラブルを繰り返さないための判断基準

長年プラントの保全現場を取材してきた視点から断言できるのは、「サーマルリレーのトリップは技術的故障である前に、組織の安全文化を映す鏡である」ということです。

多くの工場で発生するモーター焼損トラブルの根本には、「ラインを止めたくない」「怒られたくない」という心理から、トリップの原因を調査せず誰にも報告せずにリセットボタンだけを押して立ち去る『ノーマライゼーション(異常の常態化)』が存在します。サーマルが作動したということは、設計段階で想定された安全マージンを食い破ったという事実を意味します。「リセットを押す前に、必ずクランプメーターで実電流を測る」「トリップ履歴を設備保全台帳に記録する」というルーティンを現場の行動規範として確立できるかどうかが、重大事故をゼロに抑え込めるプラントと、毎年モーターを焼き焦がしている工場の決定的な分岐点となります。

【サーマルリレーとは】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:サーマルリレーがトリップした後、リセットボタンが固くて押し込めないのはなぜですか?
A1:リレー内部のバイメタルが過電流の熱で湾曲したまま冷めきっていないため、ラッチ機構が復帰位置に戻っていないことが原因です。故障ではありません。盤を開けた状態で2分から5分ほど待ち、バイメタルが自然冷却されると「カチッ」と感触があり正常に復帰できるようになります。無理にマイナスドライバーなどでこじ開けると内部の精密バネ機構が破損します。

Q2:配線用遮断器(MCCB)を盤に設置しているのに、なぜサーマルリレーを別で付ける必要があるのですか?
A2:役割分担が根本的に異なるためです。配線用遮断器は大電流による「電線火災や短絡(ショート)事故」から回路全体を守るもので、モーター始動時の突入電流で落ちないよう大まかな容量で選定されます。一方のサーマルリレーは、定格電流の1.1倍〜1.5倍程度の「じわじわと巻線を痛める微小な過負荷」を緻密に感知し、モーター単体の焼損を防ぐために設計されています。両方を協調して設置しなければ完全な電気保安は成立しません。

Q3:電流設定ダイヤルをモーター定格より少し高めに設定しておけば、不要な停止を防げますか?
A3:一時的なトリップは回避できますが、絶対にやってはいけません。モーターコイルの絶縁材料は、使用限界温度を10℃超えるだけで寿命が約半分に短縮するという「アレニウスの法則(10℃半減則)」に従います。定格電流を超える状態を許容して運用し続ければ、半年から1年以内にモーターが内部ショートを起こし、最終的に高額な巻き替え修理やモーター本体の交換、長時間のライン停止という莫大な損失を招く結果になります。

まとめ:モーター保護の要を正しく理解しトラブルを未然に防ぐ

サーマルリレーは、半導体やAI制御が高度に進展した現代においても、そのシンプルで堅牢なメカニズムゆえに産業現場の第一線でモーターを守り続けています。その確かな保護能力を発揮させる鍵は、以下の基本動作の徹底に集約されます。

  • 構造の理解:電磁接触器とのコンビネーション(電磁開閉器)で初めて遮断が完結することを知る。
  • 定格値の厳守:電流調整ダイヤルは自己判断で弄らず、必ずモーター銘板の定格電流値に正確に合わせる。
  • 安全第一の復帰:自動復帰(A)は原則禁止し、手動復帰(H)を選択。トリップ時は即押しせず、熱の放散を待つ間に機械側の負荷要因や端子緩みを徹底的に排除する。

制御盤の片隅に佇む小さなサーマルリレーのシグナルに耳を傾け、正しい知識に基づいた設計・保守を行うことが、現場の安定稼働と作業者の安全を守る最短の道です。 (出典: サーマル リレー と は(Yahoo!ニュース)

サーマル リレー と は
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